交流電圧(AC)と直流電圧(DC)の違いと使い所|シーケンス制御ハード設計基礎

この章のポイント
  • 直流電圧は動作に大きなエネルギー必要としない制御回路で使用される(+感電時の死亡リスク低減)
  • 単相交流はソレノイドバルブや大型リレーなどの小容量の機器に使用される
  • 三相交流は電動機のような大容量の機器に使用される

このページでは、シーケンス制御設計で知っておくべき交流電圧と直流電圧について学びます。

交流電圧と直流電圧には、明確な使い分けがあるため、最低限の理解は必須です。

難しい理論や計算は抜きにして、両者の違いとシーケンス制御設計での使い所を理解しておきましょう。

目次
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電気の流れる大きさと向きが一定なのが直流電圧

直流電圧とは、電圧が一定の大きさでかかり続ける電気の流れを指し『DC』と表記されます。

シーケンス制御ではDC24Vが一般的に採用されており、

  • リレー
  • スイッチ
  • ランプ
  • センサ

など、動作に大きなエネルギーを必要としない制御回路で利用されます。

なぜシーケンス制御ではDC24Vが採用されているのか?

シーケンス制御でDC24Vが採用される理由は、感電時に人的被害を最小限に抑えるためです。

電気抵抗(約2,000Ω)の人体が感電した際に、電圧を下げることで、死亡リスクの上がる30mAを超えさせない狙いがあります。

電流値人体への影響
0~0.5mA電流を感知できない
0.5~5mAビリビリと痙攣を起こさない程度で、指や腕などに痛みを感じる
5~30mA痙攣を起こし、接触状態から離れることが困難になる。呼吸困難や血圧上昇が起こる
30~50mA強い痙攣を起こし、失神や血圧上昇をまねく。長時間の感電は死亡するケースもある。
50mA~以上強烈なショックを受け、心臓停止や火傷により死亡する可能性が極めて高くなる。

電圧が周期的に変化するのが交流電圧

交流電圧とは、電圧が周期的に変化する電気の流れを指し『AC』と表記ます。

シーケンス制御においては、AC100V、AC200V、AC400Vがよく使われ、

  • 電動機
  • ソレノイドバルブ(電磁弁)
  • 電磁開閉器
  • サーボモーター

など、運転や操作に大きなエネルギーを必要とする運転回路で利用されています。

交流電圧には単相と3相が存在する

シーケンス制御では、主に単相2線式交流と三相3線式交流が利用されます。

単相は電線2本で構成される配線方式で時間単位の出力エネルギーは小さい

単相2線式交流は、名前の通り2本の電線で構成され『φ1AC100V』のように表記します。

家庭用コンセントと同じなので、多くの方が馴染みのある方式ではないでしょうか。

時間あたりの送電量が小さいため、小容量の機器を運転する際に利用されています。

主に使われる機器
  • 電磁接触器
  • ソレノイドバルブ

三相は電線3本で構成される配線方式で時間単位の出力エネルギーが大きい

三相3線式交流は、3本の電線を使って単相交流を3つ重ね合わせて送電し『φ3AC200V』と表記されます。

時間あたりの送電量が大きいため、電動機のような大容量の機器を運転する際に利用される方式です。

主に使われる機器
  • 電動機
  • サーボモーター&サーボアンプ

三相3線式交流から単相2線式交流を取り出せる

各相はR相、S相、T相と呼ばれており、どの相間の電圧も同じ200Vなのが特徴です。

例えば、R相とS相にだけ電線をつなぐと、200Vの単相2線式交流を取り出せます。

  • R相&S相
  • S相&T相
  • R相&T相

の組み合わせでも、200Vの単相2線式交流を取り出すことが可能です。

制御回路は直流、小容量機器は単相交流、電動機は三相交流と覚えよう

この章では、直流電圧、単相交流電圧、三相交流電圧の3種類があることを覚えましょう。

各電圧が利用される場面は、以下のとおりです。

電圧種別機器名
直流電圧
(DC24V)
リレー
スイッチ
センサ
ランプ
単相交流電圧
(φ1AC100V)
電磁接触器
ソレノイドバルブ
三相交流電圧
(φ3AC200V)
電動機
サーボモーター&アンプ

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