NPN出力(シンク)とPNP出力(ソース)の違いと特徴|シーケンス制御ハード設計基礎

この章のまとめ
  • NPN=シンク
  • PNP=ソース
  • NPN出力はプラスコモンの入力機器にしか繋げない
  • PNP出力はマイナスコモンの入力機器にしか繋げない
  • NPN出力はトランジスタ素子の保護能力に長けている
  • PNP出力は短絡時に入力機器が動作しないので安全性に長けている
  • NPN出力は短絡時に入力機器が動作するので安全性が弱点
  • PNP出力は誤配線等で過電流を引き起こすとトランジスタ素子が損傷する

この章では、トランジスタ出力の方式であるNPN出力(シンク)とPNP出力(ソース)の基礎を学びます。

センサーやPLCのユニット選定で必ず必要となる知識なので、シーケンス制御に必要な知識を身に着けましょう。

ここでの電圧とは直流を指し、プラス側は+24V、マイナス側を0V(GND=接地)として解説していきます。

目次
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PNP(シンク)とNPN(ソース)とはトランジスタ出力の種類

PNP(シンク)とNPN(ソース)とは、トランジスタによる出力の種類を示す用語です。

トランジスタは、電気の流れをコントロールする素子で、センサーの出力やPLCの出力ユニットで使用されています。

主に直流電圧のスイッチング制御に使用されており、

  • 0V(GND)を出力するのがNPN(シンク)
  • プラス電圧を出力するのがPNP(ソース)

という2種類の出力形態が存在しています。

NPN(シンク)出力のセンサー、出力ユニットの図解例

NPN(シンク)出力センサー

NPN(シンク)出力PLCユニット

PNP(ソース)出力のセンサー、出力ユニットの図解例

PNP(ソース)出力センサー

PNP(ソース)出力PLCユニット

PNP出力はマイナスコモン、NPN出力はプラスコモンの入力機器にしか繋げない

PNP出力では+24Vを出力するため、入力側の機器はマイナスコモンでなくてはいけません。

PNP出力のセンサーをリレーのコイルに接続する場合と、PLCの入力ユニットに接続する場合の回路は以下のとおりです。

NPN出力では0V(GND)を出力するため、入力側の機器側はプラスコモンでなくてはいけません。

NPN出力のセンサーをリレーのコイルに接続する場合と、PLCの入力ユニットに接続する場合の回路は以下のとおりです。

各トランジスタ出力形態のメリット・デメリット

NPN出力にもPNP出力にも、メリット・デメリットが存在します。

各出力形態のおおまかな強みは下記のとおりです。

  • NPN出力はトランジスタ出力回路の保護能力が高い点が強み
  • PNP出力は入力機器の誤動作を防止でき作業者の安全性が確保できる点が強み

NPN(シンク)のメリット・デメリット

メリットデメリット
トランジスタ出力の直後がアースに短絡してもトランジスタ素子が破損しないトランジスタ出力直後がアースに短絡すると入力機器が動作する

トランジスタ出力の直後がアースに短絡してもトランジスタ素子が破損しない

NPN出力では、トランジスタによる出力が接地側に短絡しても、トランジスタ出力回路は破損しません。

接地済みの0V出力が接地側に短絡するだけなので、過電流が発生しないからです。

トランジスタ出力の直後がアースに短絡すると入力機器が動作する

NPN出力最大のデメリットは、トランジスタ出力直後で接地側に短絡すると、入力機器が動作することです。

機器が意図せず動作して、作業者の安全を脅かす可能性があります。

PNP(ソース)のメリット・デメリット

メリットデメリット
トランジスタ出力の直後がアースに短絡しても入力機器が動作しないトランジスタ出力の直後が短絡するとトランジスタ素子が破損する

トランジスタ出力の直後がアースに短絡しても入力機器が動作しない

PNP出力は、トランジスタ出力直後でアースに短絡しても入力機器は動作しません。

そのためNPN出力よりも、作業者に対する安全性が高いと言えます。

出力直後でアースに短絡するとトランジスタ素子が破損する

PNP出力は、トランジスタ出力直後でアースに短絡してしまうと、過電流によりトランジスタ素子が壊れます。

そのため、誤配線のまま電源を投入してしまうと、センサーや入力ユニットは壊れてしまうので注意してください。

2023年の主流はPNPだが納入先の仕様によって決めるのがベター

この章のまとめ
  • NPN(シンク)はプラスコモンの入力機器にしか繋げない
  • PNP(ソース)はマイナスコモンの入力機器にしか繋げない
  • NPN出力はトランジスタ素子の保護能力に長けている
  • PNP出力は短絡時に入力機器が動作しないので安全性に長けている
  • NPN出力は短絡時に入力機器が動作するので安全性が弱点
  • PNP出力は誤配線等で過電流を引き起こすとトランジスタ素子が損傷する

PNPかNPNどちらを選択するかは、納入先の仕様に合わせるのがベターです。

作業者の安全性を重視する観点から、2023年に製造される設備はPNP出力が採用されています。

古い設備だとNPN出力も残っているため、PNP、NPN両方の知識を身につけておきましょう。

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 初めまして、詳しく、分かり易説明で
    解説で勉強になりました。
    シンク/ソースは余り意識していませんでしたが、
    国内(シンク)、国外(ソース)と言う認識しかありませんでした。

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