- 周波数とは1秒間に電圧が上下した回数のこと
- 単位はHz(ヘルツ)
- 東日本は50Hz、西日本は60Hz
- 50Hzと60Hzで機器の定格電流が異なる
- 特定の周波数専用品を異なる電源周波数で使ってはいけない
このページでは、シーケンス制御設計で知っておくべき交流電源の周波数について学びます。
電源周波数によって機器の性能特性が変わる点は、シーケンス制御設計において必須の知識です。
難しい話や計算は抜きにして、シーケンス制御設計エンジニアが知っておくべき周波数の基礎知識を解説します。
交流での周波数とは1秒間に電圧が正負に切り替わる回数のこと
交流における周波数とは、1秒間に電圧が上下した回数を指します。
周波数を表す単位はHz(ヘルツ)です。
上記の図なら、1秒間に4回電圧が上下しているので4Hzと表記します。
日本で利用されている電気の周波数は50Hzと60Hz
日本で利用されている電気の周波数は、50Hzと60Hzです。
東日本では50Hz、西日本では60Hzが利用されています。
これは家庭用電源も、工場用の電源であっても同じです。
シーケンス制御電気設計においても、
- 東日本で使用する機器は50Hz対応品
- 西日本で使用する機器は60Hz対応品
を選定しないといけません。
電源周波数によって機器の電流値が変わる
電源周波数によって、機器の性能特性が変化し定格電流も変わります。
その代表であるモーター(電動機)を例に、周波数と電流値の関係を見ていきましょう。
周波数が大きいと定格電流値は下がり、小さいと大きくなる
電源の周波数によって、モーター(電動機)の性能特性は変化します。
東芝製の低圧三相かご形誘導電動機のカタログデータから、その特性を確かめてみましょう。
出力 [kW] | 電圧 [V] | 周波数 [Hz] | 定格電流 [A] | 定格回転速度 [min^-1] | 最大トルク [%] |
---|---|---|---|---|---|
2.2 | 200 | 50 | 8.60 | 2875 | 309 |
60 | 8.40 | 3445 | 262 |
- 定格電流
- 50Hz > 60Hz
- 定格回転数
- 50Hz < 60Hz
- 最大トルク
- 50Hz > 60Hz
回転数やトルクの変化については、機械設計側で考慮する分野となります。
シーケンス制御屋としては、周波数によって定格電流が異なる点を覚えておけばOKです。
特定の周波数専用品を異なる電源周波数で運転してはいけない理由
機器によっては、50Hzまたは60Hz専用の製品も存在します。
ここでは水中ポンプを例に、仕様と異なる周波数で使用した場合に発生する問題を解説します。
50Hz専用品を60Hzで運転した場合、回転数増加とトルク不足で過負荷を引き起こす
50Hz専用の水中ポンプを電源周波数60Hzで運転した場合、モーター(電動機)に想定以上の負荷がかかります。
- 定格電流
- 50Hz > 60Hz
- 定格回転数
- 50Hz < 60Hz
- 最大トルク
- 50Hz > 60Hz
50Hz→60Hzで運転した場合、最大トルクが下がるため、定格回転数に到達するための負荷が増加。
回転数も増加に伴い機械的なロスも増え、よりモーター(電動機)に負荷がかかります。
『負荷の増加=電流の増加』であり、電流が定格以上に流れるということです。
負荷の増加で定格以上の電流がモーター(電動機)に流れ、モーターの焼損やサーマルトリップを引き起こします。
60Hz専用品を50Hzで運転した場合、回転数減少により仕様以下の性能しか出ない
60Hz専用の水中ポンプを電源周波数50Hzで運転した場合、水中ポンプは仕様通りの性能を発揮できません。
- 定格電流
- 50Hz > 60Hz
- 定格回転数
- 50Hz < 60Hz
- 最大トルク
- 50Hz > 60Hz
60Hz→50Hzで運転した場合、定格回転数が減少するため、ポンプの吐出能力が下がります。
全揚程(ポンプが汲み上げられる能力)も減少するので、配管の経路次第では水が出ないということにもなりかねません。
ポンプが仕様通りの能力を発揮できないと、他の機器へ悪影響を与える可能性がある点は留意しておいてください。
電源周波数に応じて適切な機器選択と仕様確認をおこなうこと
- 周波数とは1秒間に電圧が上下した回数のこと
- 単位はHz(ヘルツ)
- 東日本は50Hz、西日本は60Hz
- 50Hzと60Hzで機器の定格電流が異なる
- 特定の周波数専用品を異なる電源周波数で使ってはいけない
交流機器を運転する回路を設計する際は、電源周波数と機器の性能特性をかならずチェックしてください。
機器の保護回路や電線サイズは、性能特性をもとに選定しないといけないからです。
機器の性能特性は、メーカーのカタログや取扱説明書からチェックできます。
シーケンス制御において周波数と聞いたら、
- 周波数に応じた機器が選定されているか
- 適切な保護回路や電線が選定されているか
を考えるクセをつけましょう。
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