【レベル1-2】制御盤内主回路の電線を選定する|設計しながら学ぶ電気制御設計講座

ここでは、制御盤内の主回路における電線を選定します。

目次
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電線に流れる電流を確認する

回路ブロック①、②ともに流れる電流は85.6Aです。

そのため、①②ともに電線は同じとなります。

電線の敷設環境から減少係数をわりだす

電線を選定する前に、敷設環境を確認しましょう。

項目環境減少係数
盤内最高温度35℃0.91
束ねの有無束ねない(がいし引き)1.00

電線の許容電流は『温度』と『束ねる本数』により変化します。

温度による減少係数が0.91、束ねによる減少係数が1.00なので、敷設環境による減少係数は0.91です。

使用する電線の種類を決める

主に制御盤配線で使用される電線は以下のとおりです。

名称定格電圧許容温度断面積特徴
KIV600V60℃0.75~250耐油性、耐水性、可とう性(柔軟性)に優れる。大型電気機器の配線に使用される。
VSF300V60℃0.5~2耐水性、可とう性(柔軟性)に優れる。小型電気機器の配線に使用される。
KV100V60℃0.3~2可とう性(柔軟性)に優れる。100V以下の信号用配線に使用される。
HIV600V75℃0.75~250耐油性、耐水性に優れ、許容温度が高いため環境温度が高い場所に使用する。

回路の電圧はAC200Vなので『KV電線』はNG

電源電圧はAC200Vなので、定格電圧が200V以下の『KV電線』は使用できません。

200V以上の『KIV電線』『VSF電線』『HIV電線』から選ぶことになります。

制御盤内の最高温度は35℃なので『HIV電線』の許容温度は不要

今回の制御盤における盤内温度の最高は35℃なので、許容温度が60℃でも事足ります。

HIV電線も使えないことはないですが、オーバースペックとなりコスト増につながるため除外するべきです。

おおよその電流より14sq前後の太さが必要なので『KIV電線』が適切

回路に流れる電流は汲み上げポンプの85.6A。

以下の表より、14sq前後の電線太さが適切であることがわかります。

IV・KIV・HKIV電線の許容電流一覧

電線の断面積[sq]許容電流[A]
1.25sq19A
2sq27A
3.5sq37A
5.5sq49A
8sq61A
14sq88A
22sq115A
38sq162A
60sq217A
100sq298A
150sq395A
200sq469A
※周囲温度30℃、がいし引きにて敷設した場合

『KV電線』だと、電線の断面積がおおよそ2sqまでしか対応していないため不適。

『KIV電線』なら200sqまで対応しているので、今回の条件では『KIV電線』を使用するのが適切といえます。

電線太さを決定する

電線に求められる許容電流は以下の式で計算できます。

許容電流の求め方

必要な許容電流[A] = 回路に流れる電流[A] ÷ 電流減少係数 × 安全係数

117.6A = 85.6A ÷ 0.91 ×1.25

以上の結果より、117.6Aを越える最小の許容電流をもつ電線を選定すればOKです。

IV・KIV・HKIV電線の許容電流一覧

電線の断面積[sq]許容電流[A]
1.25sq19A
2sq27A
3.5sq37A
5.5sq49A
8sq61A
14sq88A
22sq115A
38sq162A
60sq217A
100sq298A
150sq395A
200sq469A
※周囲温度30℃、がいし引きにて敷設した場合

制御盤内の電線はKIV38sqが適切である

主回路の電線を選定するために割り出した結果は以下のとおりです。

制御盤内主回路電線の選定結果
  • 電線種類 ⇒ KIV電線
  • 電線太さ ⇒ 38sq

ここまでの選定結果より、盤内の主回路電線は『KIV38sq』が適切であることがわかりました。

回路図には以下のとおり電線情報を記載しておきましょう。

参考:KIV 電気機器用ビニル絶縁電線|KANZACC

【レベル1-3】メインブレーカーを選定するへ

電線が選定できたらメインブレーカーを設置しましょう。

⇒ 【レベル1-3】メインブレーカーを選定する

参考リンク

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