FANUCにはキープリレーといったアドレスが用意されています。
通常のリレーは電源を切るとオン/オフの状態がリセットされ電源投入時はオフに設定されます。
たいしてキープリレーはNCメモリ上にコイルのオン/オフ状態を記憶。電源を切ってもコイルの状態を記憶します。
キープリレーは設備の完了記憶やワークの有無記憶などに使われます。
メンテナンスやイレギュラーが起きた際に設備が想定していない手順で操作をしたことがありませんか?
それにより実際の設備状態と記憶状態が一致せず、設備が意図しない動きをしたことでしょう。
そういった手順を行ったときはキープリレーの状態を設備の状態に合わせる操作が必要です。
今回は初心者向けにキープリレーの概要と手動で状態を切り替える方法について解説します。
- キープリレーとは電源を切断してもメモリ上でオン・オフの状態を保持するコイルをもつリレーの一種
- PMCラダープログラム上ではアドレス”K”で表現される
- キープリレーの状態は手動でもオン・オフの切り替えができる
キープリレーの機能
キープリレーはラッチ式のリレー
FANUCのPMC上でアドレス”K”に割り当てられたラッチ式のリレー。
キープリレーにはユーザ領域と管理ソフト使用領域が用意されています。
FANUCでは一般的にユーザ領域に該当するアドレスのことをキープリレーと呼びます。
PMCラダー上での表現
PMCラダー上では内部リレーとして使用できます。
接点およびコイルの使い方は通常の内部リレー(R)と同じです。
また手動でキープリレーの状態を変更することが可能です。
PMCパラメータ画面での表現
PMC保守機能のキープリレー一覧から、各キープリレーアドレスの状態を確認できます。
また、この画面から手動でキープリレーの状態を変更可能です。
キープリレーの状態変更方法
PMC保守機能からキープリレーの状態を変更する方法について解説します。
パラメータ書き込み設定を有効にする
オフセットセッティング画面より[セッティング]を選択して、パラメータ書き込みを”1”に変更します。
変更後、アラーム”SW0100 パラメータ書き込み可能です”が表示されますが無視します。
キープリレー一覧画面に移動する
PMC保守画面に移動する
PMC保守画面へ移動します。
- システムキー[SYSTEM](ハード)を押す
- 方向キー[▶](ハード)を2回押す
- ソフトキー”PMCMNT”を選択する
キープリレー一覧画面に移動する
PMC保守画面からキープリレー一覧画面に移動します。
- 方向キー[▶](ハード)を1回押す
- ソフトキー”Kリレー”を選択する
キープリレーの値を変更する
今回はアドレスK0000.0を”0”から”1”に変更する操作を対象に解説します。
変更したいアドレスにカーソルを合わせる
変更したいアドレスにカーソルを合わせます。
入力状態を入力する
状態をオンにしたい場合は”1”を。
オフにしたい場合は”0”を入力します。
INPUTキーで状態を変更する
[INPUT]キー(ハード)を押すとアドレスの状態が変わります。
このとき、0または1以外の値は受け付けません(エラー)。
PMCラダー図から状態を確認する
先程変更したアドレスK0000.0がオン(“1”)になっていることを、PMCラダー図から確認します。
パラメータ書き込み設定を無効にする
キープリレーの変更が終了したら最初に変更したパラメータ書き込み欄を”0”に戻します。
リセットキーを押すと”SW0100 パラメータ書き込み可能です”が表示されなくなります。
キープリレーを理解して不測のトラブルに備えよう
今回はキープリレーについて解説しました。
設計者でなければ
- キープリレーとはなにか
- キープリレーの手動変更方法
がわかればトラブル対応をするには十分です。
普段行わない作業の後に設備がおかしな動きをした際はキープリレーの状態を疑ってみてくださいね。
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