ここでは、汲み上げポンプ用の電動機保護としてサーマルリレーを設置します。
サーマルリレーは電動機を過負荷による焼損から守るための機器です。
汲み上げポンプのスペックをもとに、適切なサーマルリレーを選定していきましょう。
サーマルリレーの回路記号
サーマルリレーの回路記号は、上記のとおりです。
機器符号は『OL』、補助情報に整定電流を記載します。
サーマルリレーの選定
以下にサーマルリレーの選定に必要な情報は下記のとおりです。
保護目的 | 過電流保護、欠相保護 |
---|---|
電動機の定格電流 | 85.6A |
汲み上げポンプの始動時間 | 約6秒 |
上記の情報をもとに、サーマルリレーは以下の手順で選定をおこないます。
- ヒータ呼びの決定
- フレームサイズの決定
- 飽和リアクトルの有無
- 欠相保護の有無
①ヒーター呼びの決定
サーマルリレーがトリップする整定電流を定格電流にあわせるため、ヒータ呼びを決定します。
三菱電機が公開している選定表を確認してみましょう。
汲み上げポンプの電動機はAC200Vで出力が22kWなので、ヒーター呼びは82A。整定電流の範囲は65~100Aです。
②フレームサイズの決定
ヒーター呼びがわかったら、フレームサイズも候補を絞れます。
もう一度、三菱電機が公開している選定表を見てみましょう。
選定表を見ると、『T100』『N120』『N220』の3つに絞れます。
フレームサイズ | 価格 | 外形寸法 | 最大容量 |
---|---|---|---|
T100 | 安い | 小さい | 小さい |
N120 | 普通 | 普通 | 普通 |
N220 | 高い | 大きい | 大きい |
上記のいずれも汲み上げポンプを保護するには十分な性能を持っています。
違いは価格、寸法、最大容量の3つ。
ヒーター呼びが同じなら、価格が安くスペースを取らないT100のフレームサイズを選択するのがベターです。
③飽和リアクトルの有無
電動機は始動時間が長くなるほど、定格以上の電流が流れる時間も長くなります。
始動中の意図しないトリップを防止するため、飽和リアクトルを追加して動作を緩慢にすることが可能です。
今回使用する汲み上げポンプの始動時間は約6秒でしたよね。
三菱電機が公開している、モーター始動時間とフレームサイズの関係表を見てみましょう。
フレームサイズがT100で始動時間が6秒となる場合、飽和リアクトル付きのT100SRが適切であることがわかります。
④欠相保護の有無
汲み上げポンプにサーマルリレーを設置する目的は、過電流保護と欠相保護でしたよね。
三菱電機のサーマルリレーでは、欠相保護はオプションなので追加します。
欠相保護に対応するオプションの型式はKPです。
なので『TH-T100SR』にKPを追加した『TH-T100KPSR』がサーマルリレーの型式となります。
サーマルリレーの型式は『TH-T100KPSR ヒーター呼び82A』となる
汲み上げポンプ用のサーマルリレーを選定するために割り出した結果は以下のとおりです。
- ヒーター呼び ⇒ 82A
- フレームサイズ ⇒ T100
- 飽和リアクトル ⇒ 有(SR)
- 欠相保護 ⇒ 有(KP)
以上の結果を合算すると、サーマルリレーの型式は『TH-T100KPSR ヒーター呼び82A』となります。
部品リストには以下のように記載しておきましょう。
機器符号 | 名称 | 型式 | 数量 | メーカー |
---|---|---|---|---|
OL | サーマルリレー | TH-T100KPSR ヒーター呼び82A | 1 | 三菱電機 |
参考:サーマルリレー TH-T100KPSR |三菱電機株式会社
【レベル1-2】主回路の電線を選定するへ
サーマルリレーが決まったら、次は主回路の電線を選定します。
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