ジェイテクト製のTOYOPUCにおける、FL-net接続の手順を解説します。
使用するCPUは『PC3JL-CPU』、FL-net/イーサネットモジュールは『FL/ET-T-V2H』です。
ソフトウェアは『PCWin』を使用します。
今回の解説では、仮想のネットワークに参加することを目的に話を進めていきます。
テスト環境
今回の解説におけるテスト環境です。
ソフトウェア
PCwin Version V19.9_R01(UNICODE)
PLCの構成
- CPU
- PC3JL-CPU
- スロット1
- FL-net/イーサネット(型式:FL/ET-T-V2H)
FL-netネットワークパラメータ
- ネットワークアドレス
- 123.123.123.***
- トークン監視タイムアウト時間
- 自動
- 最小フレーム許容間隔
- 100μs
FL-netアドレスマップ
今回のテスト環境では、リレーリンクおよびレジスタリンクともに最大領域を使用します。
設備名 (ノード名) | ノード 番号 | リレーリンク | レジスタリンク |
---|---|---|---|
搬送ローダー (RB) | 1 | 専有範囲「0~127ワード目」 送信領域ワード数「128ワード分」 | 専有範囲「0~2,047ワード目」 送信領域ワード数「2,048ワード分」 |
加工機1 (OP1) | 2 | 専有領域「128~255ワード目」 領域サイズ「128ワード分」 | 専有範囲「2,048~4,095ワード目」 送信領域ワード数「2,048ワード分」 |
(OP2) ※あなた | 加工機23 | 専有領域「256~383ワード目」 領域サイズ「128ワード分」 | 専有範囲「4,096~6,143ワード目」 送信領域ワード数「2,048ワード分」 |
搬出コンベア (CNV) | 4 | 送信領域「384~511ワード目」 領域サイズ「128ワード分」 | 専有範囲「6,144~8,191ワード目」 送信領域ワード数「2,048ワード分」 |
FL-netの仕様は以下の通りです。
- リレーリンク:最大8,192ビット(512ワード)
- レジスタリンク:最大8,192ワード
アドレス割付設定
FL-netアドレスマップをもとに、PLC内部の割付アドレスを設定します。
今回はリレーリンクにはEM(拡張内部リレー)を、レジスタリンクにはD(データレジスタ)を選択しました。
リレーリンクおよびレジスタリンクに利用できるデバイスには制限があります。
下記以外のデバイスは割り付けられません。
識別子 | デバイス名 | ビットアドレス | ビット点数 |
---|---|---|---|
L | リンクリレー | L0000~L01FF | 2,048点 |
M | 内部リレー | M0000~M07FF | 2,048点 |
XY | 入力/出力 | X,Y0000~X,Y07FF | 2,048点 |
EL | 拡張リンクリレー | EL0000~EL1FFF | 8,192点 |
EM | 拡張内部リレー | EM0000~EM1FFF | 8,192点 |
EXY | 拡張入力/出力 | EX,EY0000~EX,EY07FF | 2,048点 |
識別子 | デバイス名 | ワードアドレス | ワード点数 |
---|---|---|---|
R | リンクレジスタ | R0000-0~R07FF-F | 2,048点 |
D | データレジスタ | D0000-0~D2FFF-F | 12,287点 |
FL-net設定手順(ハードウェア)
ここからは実際にハードウェア側の設定をしていきます。
ハードウェア設定
レジスタリンクの最大領域である8,192ワードを使用するには、リンクメモリ容量を32KBに設定します。
FL-net/イーサネット(FL/ET-T-V2H)モジュールの③DIPスイッチを「1・2オン」にしてください。
スイッチ設定を変更したら、PLCの電源を再起動します。
FL-netの16KBモードおよび32KBモードは、下記のCPUモジュールにて設定可能です。
CPUモジュール名 | バージョン |
---|---|
PC10P | 1.00~ |
PC10G | 1.00~ |
PC10GE | 1.00~ |
PC3JG、PC3JG-P | 1.30~ |
PC3JP、PC3JP-GP | 1.70~ |
PC3JD | 2.00~ |
PC3JM | 2.00~ |
PC3JL | 2.00~ |
AF10 | 2.30~ |
MX | 2.00~ |
FL-net設定手順(パラメータ設定)
ラダー編集ソフトPCwinを使って、パラメータを設定します。
設定対象のパラメータは下記の3つです。
- CPU動作モード
- I/Oモジュール
- リンクパラメータ
CPU動作モード
CPU動作モードの設定画面から、動作モードを選択します。
今回使用しているCPUが『PC3JL-CPU』なので、[PC3]エリア内の[分割2]を選択しました。
シーケンスプログラムの内容に応じて、分割モード1~5を決めてください。
I/Oモジュール
I/Oモジュールの設定画面から、各スロットNo.に対応するモジュールを割付けます。
今回は「ラック番号0」の「スロットNo.0」に「FL-net(32KB)・EtherNet/IP」を割り付けました。
割付方法は上記の画面を参照してください。
3つあるFL-netモジュール名は、ハードウェア編で説明したDIPスイッチの設定に合わせます。
- リレーリンクで使用する領域:8,192ビット(512ワード)
- レジスタリンクで使用する領域:8,192ワード
これらの領域をFL-netで使用するため、FL-net(32KB)・EtherNet/IPに設定しました。
リンクパラメータ
リンクパラメータ設定画面では『リンク設定』と『詳細設定』の2つを設定します。
リンク設定
I/Oモジュール設定と同じパラメータになっているかを、確認してください。
詳細設定
詳細設定画面では以下の3点を設定します。
- ノード関係パラメータ
- リレーリンク・レジスタリンクの内部アドレス割付設定
- ネットワークパラメータ
各々の設定はタブをタップして確認してください。
①ノード関係パラメータ
ノードに関するパラメータを設定します。
- ノード番号
└ 3 - ノード名
└ OP2 - RUN停止時の出力状態
- リレーリンク
└ クリア - レジスタリンク
└ クリア
- リレーリンク
- 他ノード離脱時の入力状態
- リレーリンク
└ クリア - レジスタリンク
└ クリア
- リレーリンク
- 通信方式
└ N:Nまたは1:N親局
②リレーリンク・レジスタリンクの内部アドレス割付設定
リンク領域先頭アドレス | EM000W |
リンク領域ワード数 | 512ワード |
送信領域先頭アドレス | EM100W |
送信領域ワード数 | 128ワード |
リンク領域先頭アドレス | D0000 |
リンク領域ワード数 | 8192ワード |
送信領域先頭アドレス | D1000 |
送信領域ワード数 | 2048ワード |
設定値の根拠は、下記を参照してください。
リレーリンクおよびレジスタリンクに利用できるデバイスには制限があります。
下記以外のデバイスは割り付けられません。
識別子 | デバイス名 | ビットアドレス | ビット点数 |
---|---|---|---|
L | リンクリレー | L0000~L01FF | 2,048点 |
M | 内部リレー | M0000~M07FF | 2,048点 |
XY | 入力/出力 | X,Y0000~X,Y07FF | 2,048点 |
EL | 拡張リンクリレー | EL0000~EL1FFF | 8,192点 |
EM | 拡張内部リレー | EM0000~EM1FFF | 8,192点 |
EXY | 拡張入力/出力 | EX,EY0000~EX,EY07FF | 2,048点 |
識別子 | デバイス名 | ワードアドレス | ワード点数 |
---|---|---|---|
R | リンクレジスタ | R0000-0~R07FF-F | 2,048点 |
D | データレジスタ | D0000-0~D2FFF-F | 12,287点 |
③ネットワークパラメータ
FL-netネットワークを構成するパラメータを設定します。
- ネットワークアドレス
└ 123.123.123 - トークン監視タイムアウト時間
└ 自動にチェック - 最小許容フレーム間隔
└ 10(1msec)
シーケンスプログラム一例
FL-net通信を利用したシーケンスプログラムの一例です。
シーケンスプログラムの内容は、制御仕様により異なります。実際の仕様に合わせて利用してください。
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