ここでは、レベル1「汲み上げポンプを回す回路を作る」で完成した回路に電磁接触器を追加します。
電磁接触器は動力回路の開閉をおこなうリレーの役割を持つ機器です。
電動機のような大容量の機器を制御するうえで必ず登場するため、この章を通じて選定方法を学んでいきましょう。
電磁接触器の回路記号
電磁接触器の回路記号は上記のとおりで、機器符号は『MS』です。
電磁接触器の設置位置
電磁接触器はブレーカの2次側かつサーマルリレーの1次側に設置します。
電磁接触器→サーマルリレー間の配線が追加となるため、新たに線番号を以下のとおり割り付けました。
区間 | 電線 | 線番号 |
---|---|---|
電磁接触器→サーマルリレー | R相 | R1A |
S相 | S1A | |
T相 | T1A |
電磁接触器の選定
電磁接触器を選定するにあたって決定するべき項目は以下の5点です。
- 基本形式
- 非可逆・可逆
- フレームサイズ
- フィンガープロテクション
- 操作コイル、操作回路仕様、特殊補助接点付
基本形式
基本型式は、操作コイルの電圧と機械ラッチ機能の有無から決定します。
今回の学習では、単相AC100Vにて電磁接触器を操作する予定なので、交流操作形を選択。
また汲み上げポンプの性質上、機械ラッチ昨日は不要です。
よって基本形式は交流操作系のSとなります。
非可逆・可逆
非可逆・可逆の選定は、電動機の正転と逆転を切り替えて運転する必要があるかによります。
今回の汲み上げポンプでは、電動機の正転と逆転を切り替える必要はありません。
なので非可逆式の電磁接触器を選択します。
よって非可逆・可逆は記号なしとなります。
フレームサイズ
フレームサイズの選定に必要な条件は以下のとおり。
電源電圧 | AC200V |
---|---|
電動機の容量 | 22kW |
電動機の始動方法 | 直入れ始動 |
3つの条件から電磁接触器のフレームサイズを決めることが可能です。
今回使用する電磁接触器は三菱電機製のMS-Tシリーズより選定します。
引用元:三菱電機 電磁開閉器 MS-T/Nシリーズ カタログ「選定と適用」
上記の適用表より、フレームサイズは以下の5つに絞られました。
- T100
- N125
- N150
- N180
- N220
この中から今回の回路に対して適切なフレームサイズを選ぶには、開閉頻度を確認します。
つまり、使用期限の10年以内におおよそ何回開閉を繰り返すかによってフレームサイズが決まるということ。
ここでは汲み上げポンプの運転/停止の頻度は少ないものと想定し、年1万回程度だと仮定します。
引用元:三菱電機 電磁開閉器 MS-T/Nシリーズ カタログ「電気的耐久性別適用」
上記の表を見ると、想定開閉頻度が10年で10万回程度なのでフレームサイズは『T100』が適切です。
フィンガープロテクション
フィンガープロテクションは、納入先の安全仕様に合わせて選択します。
いずれにおいても電磁接触器の能力が変わるわけではないため、制約のない今回の学習では標準仕様とします。
操作コイル、操作回路仕様、特殊補助接点
ここまでの選定でわかった型式S-T100は、サージ吸収器が標準搭載なので記号SAは不要。
次に遅延釈放形について、これはコイルの電源OFF時に内蔵コンデンサによって数秒だけON状態が持続する機能です。
汲み上げポンプでは、遅延釈放する必要がないため記号DLも不要となります。
そして特殊補助接点について、今回の学習では制御回路の用途にしか補助接点を使用しないので記号無しでOK。
以上の結果より、操作コイル、操作回路仕様、特殊補助接点は記号なしとなります。
選定の結果より型式はS-T100 コイルAC100Vで決定
汲み上げポンプ操作用の電磁接触器を選定するために割り出した結果は以下のとおり。
- 基本形式 ⇒ S(交流操作型 コイルAC100V)
- 非可逆・可逆 ⇒ 記号なし(非可逆)
- フレームサイズ ⇒ T100
- フィンガープロテクション ⇒ 記号なし(オプション無)
- 操作コイル、操作回路仕様、特殊補助接点付 ⇒ 記号なし(オプション無)
以上の結果より、汲み上げポンプ操作用の電磁接触器の型式はS-T100 コイルAC100Vとなりました。
部品リストには以下のように記載しておきましょう。
機器符号 | 名称 | 型式 | 数量 | メーカー |
---|---|---|---|---|
MS | 電磁接触器 | S-T100 コイルAC100V | 1 | 三菱電機 |
【レベル2-2】ダウントランスとスイッチで電磁接触器を操作するへ
電磁接触器が設置できたら、次は操作するためにダウントランスとスイッチを追加してみましょう。
⇒【レベル2-2】ダウントランスとスイッチで電磁接触器を操作する
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