【FANUC】ドライランとは最大送り速度を制限するNCのデバッグ機能

新しいNCプログラムで加工を行うまえに、プログラムのテストが必要です。

テストをしていないプログラムで加工を行うということは、座標の間違いや速度指令間違いによって想定外の動作が発生し、設備を破壊するだけではなく破損した工具が弾けて人に当たるなど、非常に危険です。

そこでプログラムをテストする際、必要な操作にドライランがあります。

今回はドライランの機能について解説します。

忙しい人向けまとめ
  • ドライランとはパラメータで設定した速度を上限とする機能
  • パラメータNo.1410 ドライラン速度
  • ドライラン切替用のPMCアドレス “G46.7”
  • ソフトウェアオペレータズパネルでも切替可能
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目次
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ドライランとは

最大送り速度を制限するNCデバッグ機能

dryrun
ドライランが有効中はF300 (300mm/分) 以上の送り速度にはならない

ドライランとは、ドライラン速度を上限に最大速度を制限する機能のことです。

プログラム上で送り速度をF1000(1000mm/分)で指定しても、ドライラン速度のF300(300mm/分)で工具が移動します。

デバッグ作業時に使用する

ドライランは工具の動きを確認するプログラムのチェック作業で使用します。

早すぎる送り速度を指令された際に、オーバーライド速度を下げても十分な低速運転にならないことがあります。

そういったときにドライランを有効にすることで、安全な低速運転を実行することができます。

オーバーライド速度とは、送り速度に対して0~100%の範囲で速度を可変させる機能のことです。

ドライラン速度パラメータ

ドライラン速度を設定するパラメータは次のとおりです。

ドライラン速度<パラメータNo.1410>
[入力区分]パラメータ入力
[データ形式]実数系統形
[データ単位]mm/min,inch/min,度/min(機械単位)
[データ最小単位]基準軸の設定単位に従う。
[データ範囲]
[備考]ジョグ送り速度指定ダイヤルが100%の位置のドライラン速度を設定する。
パラメータ設定値を0にするとアラームが発生する。
パラメータ変更後電源の切断が必要。

ドライランの有効/無効切替方法

PMCラダーによる切替

PMCラダーからCNCに対する信号アドレスG046.7(DRN)で設定します。

PMC側でCNCのドライラン信号の状態を確認したい場合は、CNCからPMCに対する信号アドレスF002.7(MDRN)から確認します。

ドライランの切替条件は各社設備仕様により異なるので、取扱説明書を確認してください。

ドライラン信号 DRN<G046.7>
[区分]入力信号
[機能]ドライランを選択します
[動作]ドライラン信号DRNが”1″の時、軸移動をドライラン速度で動かします。”0″の時、通常運転を行います
※軸移動中にドライラン信号が”0″から”1″または”1″から”0″へ変化した場合、一旦速度が0になるまで減速後、所定の速度まで加速します。
ドライラン確認信号 MDRN<F002.7>
[区分]出力信号
[機能]ドライラン信号の状態をPMCに通知します
[動作]ドライラン信号DRNが”1″の時、MDRNは”1″。DRNが”0″の時、MDRNは”0″となります

ソフトウェアオペレータズパネルによる切替

softwareope

機能キーOFFSET/SETTINGSからオペパネを選択します。オペパネ2ページ目にドライランの切替項目が存在するので、ソフトキーでオフ/オンを切り替えることができます。

まとめ

ドライランの解説はいかがだったでしょうか。

NCプログラムを安全に確認する際には必須の設定です。ご自身の安全のためにも、ドライランを活用して安全に作業を行いましょう!

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