PLC(プログラマブルロジックコントローラ)のシェアは、転職や年収に大きく関係します。
経験のあるPLCによって転職先の多さや提示給与が大きく変化するからです。
シェアの多いPLCを扱えるなら転職先に困ることはありません。
逆にシェアが少ないPLCでは、求人こそ少ないものの高年収を狙うことも可能です。
ここでは各メーカーのPLCシェア状況が、人材需要や給料へどのような影響を与えているのか確認していきましょう。
自分の保有スキルとシェアを比較して、転職や今後の計画に活かしてください。
日本国内および世界のPLCシェア統計
以下は2023年の調査データに基づく、プログラマブルロジックコントローラにおける世界シェアのグラフです。
引用元:プログラマブルロジックコントローラー(PLC)の世界市場の現状と推移2024–2030年までの予測 YH Research
世界のPLCシェアランキング
PLC世界シェア順位 | PLCメーカー | 国 |
---|---|---|
1 | シーメンス | ドイツ |
2 | ロックウェル | アメリカ |
3 | 三菱電機 | 日本 |
4 | シュナイダーエレクトリック | フランス |
5 | オムロン | 日本 |
6 | エマソン | アメリカ |
7 | ABB | スイス |
8 | ボッシュレックスロス | ドイツ |
9 | 富士電機 | 日本 |
10 | 東芝 | 日本 |
11 | パナソニック | 日本 |
12 | キーエンス | 日本 |
13 | JTEKT(光洋電子) | 日本 |
14 | IDEC | 日本 |
世界規模でPLCのシェアを持っているのがシーメンスです。特に製造業が盛んな欧州で使用されています。
2位のロックウェルは米国内で使用されています。
3位にやっと日本の三菱電機。どうしても輸出がメインとなるため、世界的なシェアは低いようです。
日本国内のPLCシェアランキング
世界のPLCシェアランキングを見るかぎり、私の肌感覚とほぼ一致しているように感じました。
なので世界ランキングをそのまま日本国内のシェアランキングに当てはめても良さそうです。
国内シェア順位 | PLCメーカー |
---|---|
1 | 三菱電機 |
2 | オムロン |
3 | 富士電機 |
4 | キーエンス |
5 | 東芝 |
6 | JTEKT(光洋精工) |
7 | IDEC |
三菱電機
三菱電機のPLCは国内において圧倒的なシェアを誇ります。
幅広い装置で利用されているため、装置メーカーも多種多様で求人需要も多いのが特徴。
三菱のPLCが扱えるなら、転職先に困ることはありません。
あわせて表示器のGOTやMELSERVOも扱えると、より転職先は容易になるでしょう。
オムロン
国内の一部製造メーカーにおいて、オムロンPLCを指定しているところもあります。
三菱電機よりも採用例は少ないですが、ほどほどに見かけるといった感じです。
オムロンPLCしか扱えないと転職先を探すのは難しいかもしれません。
三菱電機とあわせて扱えると加点になる、ぐらいに考えておいて良いでしょう。
富士電機
国土交通省が定めた電気設備の標準仕様を満たすPLCを全モデルで販売しています。
そのためパワエレや食品、発電等の要求が厳しい環境で利用されることが多いです。
特殊な製造メーカーへ転職したい場合、富士電機のPLCを扱えるとチャンスが増えますね。
ただしPLC全体のシェアは低いため、求人を探すのが大変というデメリットを覚悟しないといけません。
キーエンス
2020年のコロナ禍による供給問題をきっかけに、安定した供給でシェアを拡大してきました。
以前よりは搭載設備を見かけるようになりましたが、三菱電機やオムロンには及ばないようです。
キーエンスの強みはセンサーやセーフティ機器。
キーエンスの周辺機器を他のPLCと組み合わせて扱える人材が重宝されやすい傾向にあります。
東芝
全体のシェアは低いものの、インフラ設備やプラント設備で多く採用されているようです。
私自身、インフラやプラントでの作業経験がないため東芝製PLCを扱ったことはありません。
とはいえインフラやプラント系の求人をみると、比較的年収が高い傾向にあります。
ニッチなジャンルなので、東芝製PLCを扱えるなら高年収の転職先を探すのは難しくないでしょう。
JTEKT(光洋精工)
JTEKTのPLCといえばトヨプックシリーズです。
トヨタ系の工場で使用されており、それ以外で使用されることはほとんどありません。
そのためシェアは小さく限定的です。
とはいえ大手企業ほどトヨタ系列と取引があるため、トヨプックを使える人材を評価してくれます。
大手企業への転職を望むなら、トヨプックを扱えると自己PRでアドバンテージになるでしょう。
IDEC
IDECのPLCは日本国内において、ほとんど見かけることはありません。
というより私も見たことはありません。
世界的に見れば多少のシェアはあるものの、日本国内で仕事を探すのは難しいでしょう。
CNCとPLCが一体型の制御機器メーカーのシェア
多くの工作機械やロボットではCNCコントローラを搭載しています。
たいていはPLCを一体で提供している場合がほとんどで、代表的なメーカーは日本のFANUCとドイツのSiemens。
この2社が市場を独占しており、FANUCまたはSiemensを扱える人材は市場価値の高い人材として扱われます。
FANUC
FANUCは日本を代表するCNC装置メーカーです。
日本国内であれば、CNC装置を搭載している設備の9割がFANUC製といっても過言ではありません。
FANUCの場合、独自のPMCを搭載しており、ラダー言語で外部機器との入出力とCNCと連携できます。
基本的にFANUCのCNCを購入して装置に搭載しているメーカーは大手がほとんど。
そのため大手企業ではFANUCのPMCを扱える人材の価値は非常に高くなっています。
過去に別で運営している電装制御屋の備忘録に対し、大手企業よりFANUCのPMCを扱える人材を紹介してもらえないかと打診がありました。
自社製品をFANUC搭載の装置と連携させたいが、FANUCのPMCを扱える人材が捕まらないため相談したとのことです。
話が個人にまで波及するということは、FANUCのPMCを扱える人材がいないということでしょう。
FANUCのPMCが扱える人材は、ますます大手企業からの需要は高まる一方ですね。
個人的には、FANUCのPMCを扱える人は転職先にも困らず高年収を目指しやすい属性を持っていると考えています。
シーメンス
シーメンスはドイツを代表するCNC装置および制御機器の総合メーカーです。
日本国内でのシェアは数%と低いですが、世界シェアではFANUCを大きく上回ります。
海外向けの装置を製造するメーカーなら、ほとんどがシーメンスの取り扱い経験があるはずです。
転職においてはグローバル企業が多く、海外勤務を許容できるなら高年収を狙いやすいスキルとなります。
特に欧州企業でシーメンス製CNCが採用される傾向にあるため、欧州勤務が可能ならアリですね。
FANUCが日本国内向け、シーメンスが海外向けといった認識でOK。どちらも人材需要が高いので、転職がしやすく高年収も狙いやすいのが特徴です。
どのPLCが金になるのか?転職に強い組み合わせはあるのか?
転職市場において、転職の容易さと年収は需要と供給で決まります。
供給少 | 供給多 | |
---|---|---|
需要少 | 年収:低〜中 転職難易度:普通 | 年収:低 転職難易度:高い |
需要多 | 年収:中〜高 転職難易度:低い | 年収:低〜中 転職難易度:低い |
たとえば三菱電機のPLCは需要が多く供給も多い位置に属します。
なので求人が多く転職難易度は低い。ただし、人材が買い叩かれる傾向にあるため年収は高くなりづらい。
狙うべきは需要が多いのに供給が少ないゾーン。
お金を稼げる制御設計エンジニアになりたいなら、需要は多いが供給の少ないPLCを扱えればよいということです。
金になるのは需要が多くて供給の少ないPLC
金になるPLCスキルは、国内であればFANUCのPMCですね。
日本国内のCNCを牛耳っているにもかかわらず、扱える人がほとんどいません。
特に大手の装置メーカーが人材を欲しており、年収を上げやすいわりに転職も容易なのが特徴です。
年収500万円前後の方でFANUCのPMCを扱えるなら、転職により大幅年収アップは可能。
本当に人材が足りていないため、転職活動をしてみたらあっという間に内定がもらえるということも十分にあり得ます。
これから年収を上げていきたい人が取るべき戦略
さて、国内においてFANUCのPMCを扱える人が転職市場で非常に有利であるとお伝えしました。
しかし「FANUCを扱ったことがない」という人がほとんどでしょう。
未経験だからノーチャンスなんてことはありません。少しの時間と努力で誰でもこのエリアに入れます。
ここではFANUCを扱ったことはない人向けに、FANUCを扱えるようになって年収を上げる戦略を提示します。
兎にも角にも、まずはFANUC製品の経験を積まないといけません。
FANUC関係の取り扱いがない企業だと導入は不可能ですし、個人での入手は難しいです。
そこでFANUC製品を取り扱う企業へ転職し、数年かけて経験を積むことをおすすめします。
『PMC』『CNC』『ロボット』など、各製品を幅広く扱っている企業がベスト。
人材不足が喫緊の課題となっている企業なら、FANUC未経験でも滑り込めます。
とはいえ未経験からスタートなので、努力は必要です。
FANUC独特の制御方法や仕様は多岐にわたり、パラメータやNCも理解しないといけないので大変。
これらを乗り越えた先に、明るい未来が待っているの歯を食いしばって頑張りましょう。
FANUC関係のスキルを数年かけて学んだら、大手へ転職し年収アップを計画します。
3年以上の経験があれば、スキル面において落とされることはないでしょう。選び放題となります。
転職先から提示された給料に不満がなければそのまま承諾して、転職活動を終了してもいいですね。
ですが、せっかく苦労して身につけたスキル。次は給料交渉でより年収アップを狙います。
新卒採用とは違い、中途採用ではコチラからも交渉する余地がある点が特徴です。
その最たる例が給与交渉。
自身のスキルが転職先にとって役立つことを丁寧に説明し、そのうえで提示金額の底上げを狙います。
個人で交渉もできますが、成功率を上げたいなら転職エージェント等のサポートを受けるべきです。
交渉の知識がない状態で挑むより、その手の交渉を専門にしている人にお願いすれば成功率は上がります。
個人的な交渉で相手のカンに障ってしまい内定が取り消しとなるリスクを避けられません。
プロに代行してもらうのは、保険としても機能する意味もあります。
代行してもらっても100%成功するとは限りませんが、交渉に自信がないなら頼ってみるのも手ですよ。
製造系の求人で交渉力の高いメイテックネクスト がおすすめ。求人も年収が高く、年収アップを狙う人向けです。
年収を上げたい人は需要が多く人材供給の少ないPLCスキルを身に着けよう
制御設計エンジニアの平均年収は約546万円(当サイト調べ)です。
あくまでも平均値なので、競争率の高いPLCスキルしか持っていないと平均以下の年収はザラにあります。
本当に年収を上げたいなら、需要が多く人材供給の少ないPLCスキルを身につけるしかありません。
供給少 | 供給多 | |
---|---|---|
需要少 | 年収:低〜中 転職難易度:普通 | 年収:低 転職難易度:高い |
需要多 | 年収:中〜高 転職難易度:低い | 年収:低〜中 転職難易度:低い |
上記の表は、どんな職種にも当てはまります。転職を検討する際は必ず頭に叩き込んでおいてください。
では、制御設計エンジニアで需要が多く人材供給の少ないPLCスキルは、
- 国内ならFANUC
- 海外ならシーメンス
です。
いずれかのスキルを持っている人は、転職活動をしてみたら「あっという間に年収が上がった」ということも十分ありえます。
これらのスキルを持たない人は、時間をかけても良いなら上記を扱える会社へ取り急ぎ転職するのも手です。
時間をかけてでも市場で必要とされるスキルを身につけるのは、長期的にみてもメリットのほうが大きくなります。
今の会社で
「このままこの仕事を続けていて未来はあるのだろうか…」
と考えたことがあるなら、転職市場が活発な今がチャンスです。
電気制御屋ジョブでは、そういったチャレンジする人の相談も受け付けています。
転職関係の相談はコチラから受け付けています。管理人山本が回答するので、お気軽にご相談ください。
過去に電気制御屋ジョブを通じて転職活動をおこない、実際に年収アップに成功した方もいました。
多くの方が500万円以上を達成し、転職を決心して良かったと話しています。
とり急ぎ当サイトで紹介している転職エージェントについて知りたい方は、下記を参照ください。
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