- 工作機械の修理や回路変更って無資格者でも大丈夫?
- 制御盤の組立や配線って電気工事士の資格が必要?
- 電気工事士の資格ってシーケンス制御の仕事に役立つ?
このページでは、こんな疑問について回答していきます。
管理人は第二種電気工事士資格保有のシーケンス制御電気設計エンジニアです。
工作機械の配線・制御変更は「軽微な工事」に該当するため資格は不要
工作機械に対する配線・制御変更等の電気工事は「軽微な工事」に該当します。
工作機械は電気機器に分類されるからです。
電気工事士法及び電気工事業法の適用を受ける電気工事の範囲は?
○ 電気工事士法
一般用電気工作物又は自家用電気工作物(最大電力500kw未満の需要設備に限る)を設置、変更する工事をいう。ただし、政令で定める「軽微な工事」は除く。○ 電気工事業法
出典:電気工事士法及び電気工事業法の質疑応答事例(外部リンク)
電気工事士法の「電気工事」と同様である。
電気工事士法および電気工事業法では、
- 一般用電気工作物
- 自家用電気工作物
に該当しない電気機器への電気工事は「軽微な工事」として判断されます。
ただし、600V以下で使用される場合に限る点に注意が必要です。
電気工事士法施工令第1条
②電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ)又は電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ)をねじ止めする工事
出典:電気工事士等資格が不要な「軽微な工事」とは|経済産業省(外部リンク)
○「電気機器」とは、電気用品安全法施行令別表第1第6号から第9号まで及び別表第2第6号から第11号までに掲げる交流用電気機械器具をいい、それら機器の端子に電線( コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。 )をねじ止めする工事を言います。
○主な例として、汎用モーターや農業用ポンプ等の端子箱内のねじ止め作業などがあります。
一般的に工作機械は電圧200V~400Vで設計されることがほとんど。
そのため、たいていの工作機械は無資格で電気工事が可能です。
工場の受電設備から制御盤へ電線を引き込む工事には資格が必要です。受電盤および配電盤の変更となり、一般用電気工作物および自家用電気工作物に対する工事に該当します。
機械系の電気エンジニアが電気工事士を取得するメリット
資格不要でも工事ができる工作機械や制御盤関係の業務。
それでも、電気工事士の資格は取得して損はありません。
ここでは電気設計者と配線・組立作業者の目線で話をしたいと思います。
シーケンス制御系電気設計
シーケンス制御系の電気設計エンジニアが電気工事士を取得するメリットはちゃんとあります。
電線の選定や機器の選定時、根拠を元にした安全な設計ができる点です。
電気設計をおこなう上で必ず考えることになる電線の選定。
想定される電流値に対して、配線環境から減少係数を計算して電線の断面積を決定します。
ブレーカー選定でも、接続機器ごとに定格容量や動作時間を計算しないといけません。
このような電気設計の基礎は、電気工事士の試験勉強から学ぶことが可能です。
機械・制御盤配線
配線業務においても電気工事士で学んだ知識が役立ちます。
図面上で指示のない箇所を配線する際に、安全な施工ができるからです。
過去に電磁開閉器の二次側に対し、3つの電動機を接続する配線を依頼したときのこと。
電動機間は渡り配線となるため、電磁開閉器との幹線は各電動機の合計電流値で選定しないといけません。
しかし知識のない作業者が幹線に容量不足の電線を選定した結果、幹線が燃えるという事態に。
電気工事士で学んだ知識があれば、渡り配線で注意するべき点に気づいていたはずです。
- 指示なき箇所を安全に配慮して施工
- 設計者の指示ミスを指摘する
電気工事士で学んだ知識は、設計だけでなく現場においても活せます。
電気工事士資格は転職で役立つ
シーケンス制御系の電気設計エンジニアが転職を検討する際にも、電気工事士の資格が役立ちます。
- 自身のスキルを証明する証拠となる
- 資格手当が支給される
取得難易度が低いといわれる第二種電気工事士の資格ですら、取得しておくメリットは大きいです。
自身のスキルを証明する証拠となる
電気工事士の資格を持っていれば、少なくとも電気の知識があることを証明できます。
採用担当の現場では、書類やたった数十分の面接でスキルを見極めるのは困難です。
特に書類審査の段階では、資格を持っている人のほうが有利になりがち。
短時間でスキルレベルを相手に伝えるなら、資格ほど優れたものはありません。
シーケンス制御系の電気設計は、資格不要で高年収が狙えるチャンスの多い仕事です。
それでも、関連する資格があれば転職を圧倒的有利に進められますよ。
資格手当が支給される
資格不要で従事できる仕事だからこそ、資格手当が支給される場合もあります。
第二種電気工事士の場合、取得難易度の低さに対してもらえる手当の額が大きめ。
資格手当を支給してもらえる会社へ転職すれば、そこそこの収入アップが見込めます。
転職時に選考に通りやすくなるだけでなく給与も増えるため、取得して損はない資格です。
電気系のエンジニアなら電気工事士は持っておきたい資格です
工作機械などを扱う電気系のエンジニアなら、電気工事士の資格は取得しておきましょう。
第二種電気工事士なら、合計40時間程度の学習期間で合格可能。
掛けた時間に対して、得られるメリットが大きいからです。
電気工事士資格を取得するメリット
- 電気に関する基礎知識が身につく
- 転職や給料アップに有効
電気に関する基礎知識は、安全な設計および工事をおこなううえで重要です。
目に見えない大きなエネルギーを扱う仕事だからこそ、知識で安全を確保する必要があります。
また、資格はその分野において最低限の知識、技能があることの証明です。
資格が不要な業界だからこそ、有資格者の人材価値は高まります。
比較的かんたんに取得できる資格なので、気になる人は是非チャレンジしてみてください。
私も無知から1ヶ月本気で勉強し、第二種電気工事士資格を取得しました。電気に関する知識を幅広く学べるため、工作機械系の電気エンジニアにも取得をおすすめします。